2010年2月15日月曜日

12mの水の上~日常のこと~



 療養中の友人を見舞いに行く途中で、ちょっと寄り道をしてダムまで足を延ばしました。満々と水をたたえた勇姿を見れば気分爽快間違いなしと踏んでのことでしたが、あにはからんや、湖面はすっかり干上がって白い雪で覆われているのです。

 
 ちがーう、違います。何かてんとう虫みたいのが片隅に並んでいる。小さなカラフルなテントが設営されているのです。駐車場に車が十台程並んでいるのですが、その車が妙に男臭くって偏っているのです。パウチされた白い紙が柵にぶら下がっていて、近づいて読めば「ワカサギ釣り」がどうのこうの、「何があっても責任を取らない」とか事務的に書かれているのです。なんだ、なんだ。



 こんな場所でワカサギ釣りをしているなんて、ビックリしました。雪原と思えたのは湖面が凍っていた、ということですね。千載一隅のチャンスです。これは降りてみない訳にはいきません。




 かなりの傾斜面を滑るようにして進みます。考えてみればダムの斜面を降りていくなんて、かなりドラマドラマしているじゃないですか。



 白い湖面は氷と雪の中間のような感じです。途中途中には黄色い染みも豪快に描かれ、それもまた素敵。野趣満点の寄り道になりました。(御見舞いに来たのに遊んじゃってさ、ごめんよ。)

 
 釣りをしていたカップルに声掛けして教わったのですが、水深は12メートルもあるそうです。気をつけないと足が抜けて1メートルも埋まるよ、そうアドバイスされてみれば、確かにゆらゆらと不安定な箇所があって、実際、ずんと足首まで埋まってしまうのです。スリル満点です。



 穴はたちまち薄い氷が張ってしまうのですが、それをかち割って指先を突っ込んでみると思いのほか温かい。この雪と氷の足元の下、ほとんど光の差さぬ水中でワカサギたちが生まれ、食べ、眠り、配偶者を見つけ、子どもをもうけて死んでいく。ちょっと厳粛な気分にさせられました。
 



名誉も金も、テレビも本もなく、粛々として生きているものが居る。

 
 こういう贈りものがたまにあるからね、生きているってやめられない、そう思うよ。ダヴィンチのレダに似た、柔らかく傾いで後方を見やる仏像なんかも始めて見れたしね、なかなか有意義な愉しい休日になりましたよ。

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